72人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
ライの言葉を聞いて、サイラスはことさら楽しそうに笑った。
それを不快そうに見て、さらにサイラスに握られていた手をライが引っこ抜いて今度はライに捕まってしまった。
「ふ。二人とも似た者同士ということか。」
「え…?」
「安心しろよ、ライくん。レイラ嬢は君のことで頭がいっぱいのようだから、俺の入る隙は無いそうだ」
「は…??」
「ちょ、さ、サイラス様?!!」
(なんてことを言ってくれているんだこの人??!!)
急な挑発から今度は爆弾発言の投下。
ライも先程までの威圧はどこにやったのか、驚いた表情で固まっている。
「ふはっ!レイラ嬢と食事に行けないのは残念だが、良いものを見せてもらったな。じゃ、俺は退散するよ。またな、二人とも」
唖然としている私たちを置いて、去って行ったサイラス。
彼が出ていって、ほんの少しして握られた手に力が籠ってハッと、ライを見る。
その顔は今までで、多分一度も見たことがない、
耳をまで真っ赤に染めて、どこか気恥ずかしさを纏わせてこちらを見るライと目が合った。
「あ……」
「…帰るぞ。」
「う、うん。」
その帰り道はお互いに言葉を発することもなく、なんだか妙な気まずさのある沈黙が続いた。
最初のコメントを投稿しよう!