72人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
「ら、ライ…?」
「何。」
「いや、あの、その…ええと、離して、欲しいのだけれど…」
「何で。まだ話の途中」
「そ、そうだけど!!何もこんな状態で話さなくても…!!」
屋敷について早々、帰宅の挨拶も程々に私の部屋に連れていかれて、
服を着替える間も隙もなくベットに倒されて、ライに押さえつけられてしまった。
「ち、近い……っ!」
「わざと。」
「なっ…?!!」
「レイラ、さっきの続き。」
「っ…」
すり、とライの掌が頬を滑る。
その感触が少しくすぐったくて、肩をすくめるとライがくすりと笑った。
「俺のことで頭がいっぱいなの?」
「そ、れは」
「俺はレイラのことで頭いっぱい」
「はえ?!!」
ライが投下してくる言葉に、思わず変な声が出てしまうし体中の熱が上がって逃げ場がない。
きっと私の顔は真っ赤になっている。自分でもわかるくらい顔が熱い。
「レイラの言うストーリーの枠組みから離れれば、攻略対象とかいうのもいないし、俺に集中させられると思ってたんだけど」
「ん…っ」
「既に俺でいっぱいなら、今すぐでも結ばれたい」
「ひぇ」
「フッ、顔真っ赤。何かいやらしいことでも考えた?お嬢様」
(ぐぅ…っ、ば、バレている。
いや違う、ライが変な言い方をするから悪いの。そう、そういう事よ…!)
なんて、心で思っても言葉に出せない。
至近距離で見つめてくるライの優しい表情と頬を撫でる感触に言葉が詰まる。
こんなに優しく笑うライを今までに見たことがあったか考えてしまうくらいで、しかもこの男は顔が良いのでそれも相まって破壊力が増す。
元々いなかったキャラクターとは言え、乙女ゲームキャラクターかつイケメンは伊達ではない。
最初のコメントを投稿しよう!