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番外編
「ライ!!見てみて!!全部ガラスよ!!!」
「はしゃぐと転ぶぞ」
「子供じゃないもの!そんなこと…っ!」
「あっ……ぶな…」
「……ごめんなさい…」
倒れかけた私の体を支えながら『だから言っただろうこれで何回目だ』と言わんばかりに見てくるライにとりあえず謝っておくことでこの後のお叱り回避を狙う日が増えつつあるこの数か月。
攻略対象キャラたちの悶着を避けまくりながら、前世では経験したことのない学生カップルの様な生活をライと共に少なからず過ごして、学園は無事に卒業した。
卒業式での断罪イベントをまさか傍観者視点で見ることになるとは思っていなかったけれど、結局主人公は王太子殿下とくっついて落ち着いたようだった。
その後は元々の計画通り、家を出てライと二人世界各地を転々とする生活を送っている。あくまでも見分を広げるため、という名目の元なので勉強したりレポートをまとめたりしているのだけれど。
「この間言ったよなレイラ、街中はしゃがない。せめて俺の近くにしろって」
「う…言ってました……。」
「転んでケガしても危ないし、人の迷惑にもなりかねない、そう言ったよな?」
「はいぃ……。気を付けます」
「ったく、いつもそう言って次のとこ行ったら忘れるんだからな…。ほら、手」
「ん…!」
差し出された手を素直に握り、ライの隣に落ち着く。
これが平常運転。学校を出て家を出てからライは私のことを「お嬢様」と呼ぶことが減ったし、敬語ももうないと言っても過言ではない。
従者ではなく伴侶になった。それが顕著に表れていて、すごくくすぐったい気持ちになる。
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