本編

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『初めまして、レイラ嬢』 『は、初めまして……リリアンヌ様』 招待されたお茶会で出会ってしまったのだ。あのリリアンヌと。 私が何周もプレイしたゲームの【悪役令嬢リリアンヌ】その人に。 見た目と、幼いながらにも自らの家柄と役割を理解している高圧的な態度、極めつけは声だ。 あのゲームは所々にキャラボイスが使われており、幼少期の回想シーン一度だけ聞くことが出来るリリアンヌの声は特徴的な高音だった。それがまさに、目の前の彼女から発せられている。 兼ねてから既視感のあったこの容姿にも合点がいったのもこの時だ。 ゲームの中、リリアンヌと共に主人公を虐げ、追い出そうとする取り巻き三人モブ令嬢の内の一人と容姿がに重なる。 ゲーム内で顔は影が入っているので全く一致かは怪しいものの…。しかしお茶会に来ていた令嬢の中にその他二人とに重なる人物を発見。おまけにすぐにリリアンヌに取り入ろうとしている姿を見て、これは不味いと思案した。 大まかなストーリーとしては、『貴族のみが通える学校が学力での特別入学枠を採用すべく、試運転の為に行ったテストで偶然にも受かってしまった主人公が、学校で出会う攻略対象者たちに助けられながらも愛を育んでいく』といった内容だった。 その中で、特に王太子ルートでは必ず対立する悪役令嬢リリアンヌとその取り巻き。悪質な嫌がらせの末、彼女含め取り巻きは国外追放なり勘当なりと、お先真っ暗なエンドが待っている。 そしてこの時決意した。この物語からフェードアウトしよう、と。 そこからの行動は自分なりに早かったと思う。
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