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「あ、あれ。レイラが見たいって言ってたやつ」
「え!!どこ!!」
「こっち。ちゃんと連れてくから一人で走って行ったりしないように」
「もう…!!子供じゃないのよ!」
「はいはい。可愛い女の子だから心配なんだよ」
「~~~っ!!思ってない癖に…!」
最近はいつもこんな調子だ。
もはや保護者ポジションのライに手綱を引かれている私。
前よりも軽口を叩くようになったし、それはそれでいいのだけれど意地悪い。
「思ってるに決まってるだろ。昨日の夜だって…」
「!!!!そ、その話はしない!」
「くくっ…顔真っ赤」
「ライのバカ!変態!!」
思わず昨夜の情事が頭の中に思い起こされて、慌ててライの口を塞いだ。
辺りは賑わっているというのに何を言い出そうとするのかと睨みつけてもライには効かない。
ニコニコ笑って流されてしまう。
学園時代は仏頂面だったくせに、いざそこから離れれば水を得た魚のように活き活きした表情を見せてくれるようになった。
何でか聞いてみた時は答えてくれなかったけれど…。お姉さまからは「レイラと一緒にいれて嬉しいのよ」とよくわからないことを言われた。
今までも一緒にいたのに…?と思いつつも、それは謎のまま。
加えてさらに、分かったことがある。
「…へえ?変態って言ったの?レイラ」
「ひぇ…っ」
するりと腰に回ったライの手にマズイ、と思ったのも束の間、ライの方に引き寄せられて距離がほぼゼロになると同時にそっと耳元に近寄った呼吸に心臓が跳ねる。
「どっちが変態、今日ゆっくり教えるからな」
「っぅう~…!!!」
ライはかなり、意地悪だということが。
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