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ライは父の事業のパートナーである商会長の息子で、同じ年だということで紹介されたのが初めだった。
父親同士ではある程度話がついていたかもしれないが、私とライの間でその話はほとんどしなかった。
当初は一人旅の予定だったのと、ライの意思を尊重するためだった。
商会長の一人息子なのであれば、尚更そっちの道に進むべきだと思っていたのもある。
…の、だけれど。
『今日からお世話になります。』
『……え???』
ゲームの舞台である学園に上がる数か月前に、ライは家にやってきた。
勿論、”私の従者”として。
何でそうなったのか聞いても適当に躱されて、父も母も、姉弟たちにいたっても教えてはくれない。
そうこうしている内に入学してしまい、二年がたってゲームの時間軸がスタートしてしまったので、もういいやと諦めたのが事の顛末。
二人で遊んでいる頃から勉強を教えてくれたし、話せば興味深いことを知っているし教えてくれるライのことはすっかり信じていたし。この先困ることもないだろうという結論に至った。
そしてこれから起こることもとにかく説明して、協力してもらうように話を付けていた。
まあ、終始意味不明と顔に書いたようにこちらを見て、返事は『はいはい』『わかりました、わかりました。』しか言わなかったけど。
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