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本編
『まぁまぁまぁ!あなたみたいな平民がルアン様に近づくだなんて!!』
『ほ~んと、あり得ないですわ!』
『そうですわ!まさか、ルアン様はリリアンヌ様の婚約者だということ、知らないわけないでしょうね?』
『そ、そんな…私はただ……』
「う~ん、想定通り!!」
「……お嬢様、双眼鏡を使いながらのお食事はいかがかと思いますよ」
「いいのよ!ライしかいないもの!!」
「…はぁ。」
王都に門を構える学校の2階の端に併設されているテラス席。
折角作られたここは、管理が行き届いていないのか意図してか、すぐ傍に木々が生い茂りあまりいい景色は望めない。だからか人も全くと言っていいほど来ない、いわば穴場だ。
おまけに双眼鏡さえあれば場所は絞られるが、まあ色んなものを見付けることが出来る。私からすればとんでもなく最強ポジ。
お昼は従者のライを引き連れてこの場所でサンドイッチを頬張るのが日課になりつつあるのだ。
「で。お嬢様の仰る通りに進んでいると」
「うん!さらに言えばこの後殿下がいらっしゃるはずなんだけど…、あ、来た」
学校の裏庭で1人の女子生徒に寄ってたかる3人の女子生徒。
そこに現れるのはこの国の王太子その人である。
予定通り、その場で3人に対して問答し、逃げていく彼女らを見もせず平民と罵られていた女の子…”主人公”に手を差し出し、2人は歩き出した。
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