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機能不全家庭
僕は不幸だった。
大人になった今が幸せかというと疑問符がつくかもしれないが、今より確実に不幸せだった僕の幼稚園の頃のお話。
僕はお店が酒屋と雑貨屋と魚屋兼肉屋とたった三件しかない農村に住んでいた。
父は子供心にこうあるかな?と不思議に思うくらい毎日イライラしていて
何かしら理由をつけては子供の僕を身体的に虐待していた。
具体的な仕打ちはまず組まれて足を掛けられ倒される。そしてお腹をたくさん蹴られ続けること。それが何発も何発も。幼稚園の僕に護身術の知識がある筈もない。ただ本能的に内臓を守ってその時間が過ぎ去るのを待っていた。鳩時計の針音が進んでいくことが救いだった。
身体は守れれば致命傷には至らなかったし、時間とともに腫れは引く。
だが今も言えることのない重い傷を僕は負った。
「あんたを産んだせいで身体のラインが崩れた。あんたなんか産まなけりゃよかった」
これが僕の母親と法的に呼ばれる人間の言葉。
子供心に自分の存在を真っ向から否定されるのは身体の傷より堪えた。
だがまだ幼かった僕は命の絶ち方は勿論死んだらどうなるのかさえ理解していなかったのが救いであったと思う。
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