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そろそろHRの時間だ。それなのにあと2人の姿が見えない。
初日から遅刻とはいい度胸だ。それとも余程の不良なのだろうか。
ならこのまま来なくていいや怖いし。けど1人欠けただけで俺も退学だった。お願い早く来て。
「皆さん、おはようございます」
ガラッとドアを開けて入って来たのはスーツ姿の若い男。
縁の無い丸眼鏡にきっちりとセンター分けにした黒髪。
絵に描いたような優しい雰囲気があるこの人が俺達の担任だろうか。
「おや、1人まだ来ていないようですね」
1人?おいおい先生まで頭不思議アドベンチャーかよ。席は2つ空いてますぜ。
「『冬和』さんはもう来てますよね?」
冬和?この2人どっちかの名前か?
各机に置いてある席順を見てみると冬和は俺の右後ろの席のはず。けどそこにはまだ誰も……、
「は、はいぃ」
「うわっ!?」
誰も居なかった席に突然女子生徒が現れた。
こじんまりとした小さな体に可愛らしい顔。赤く染まった頬に茶髪のボブカットの髪がかかっている。
緊張のためか小刻みに震える姿が小動物を連想させた。
大丈夫かこいつ。つーか、いつからそこにいた?クラスメートは幽霊でしたとかやめてくれよ。トイレ行けなくなるだろ。
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