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「冬和さんは透過魔術の達人です。先生でも隠れられると認識する事は出来ません。ところで冬和さんはいつからそこに?」
「は、はい!遅刻するのが怖かったので一番最初から居ました」
「うそ、全然気付かなかった」
後ろの席のザ・クールも流石に驚いている。この子の表情変えるなんて恐ろしいやつだなこいつ。
しかも、透明化の達人って……後で土下座して教えてもらわなければ。
「さて、残すところはあと……」
「すみません!寝坊しました!」
今日初めてこの教室に元気な声が響いた。繰り返す今日初めてだ。
息を乱して入って来たのは背の高い女子生徒。
短すぎないショートカットに活発そうな整った顔立ち。足は健やかに長くスポーツ選手を思わせる。
もっとも目に付くのは両腕の肘から指先まで巻かれた包帯だ。
昔俺も良くやったな。この両手には悪魔が封印されてるって。俺はもう卒業したけど、現役の方でしょうか?
「ギリギリセーフです。ですが、明日から余裕を持って登校しましょう」
「はーい。あっぶねー」
にかっと太陽のような笑顔が眩しい。
あぁ、心が浄化される。正直もう変なやつらばっかりで進級諦めて中途入学の準備しようか迷ってたから。一筋の希望を彼女に見た気がした。
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