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先生が腕時計に目を落とすと同時にHRを開始する鐘の音が鳴り響いた。
「それでは時間ですね。皆さん初めまして。私がこのクラスを担当します『相楽蓮』と申します。これから1年間よろしくお願いします」
綺麗な所作できっちりと頭を下げる。
すげぇ丁寧な人だ。爪の垢を煎じて2ℓくらい飲ませてやりたい。主に俺に。
「早速ですが自己紹介から入りましょう。この人数ですのでランダムで構いませんね。では一番最後だった『千刃院』さん、よろしいでしょうか」
「はいっ、大丈夫です」
パッと手を挙げ軽い足取りで教壇に立つ。
「えー、初めまして。『千刃院空』です。体を動かす事が好きで、魔力操作が少し苦手です。将来の夢は家の仕事を手伝う事で、好きなタイプは真面目で真っ直ぐな人です。どうぞよろしく!」
パチパチと歓迎の拍手が鳴る。
凄いなこいつ。先陣を切りながら簡潔で分かりやすい。次に自己紹介する奴のきっちりとした見本になってる。
それと好きなタイプが俺の真逆だ。卑怯で歪んでるってよく言われるし。なんだこのフラれた感。
それよりもこいつの名前だ。千刃院、聞いた事あるぞ。
「千刃院ってあの大企業の千刃院グループか?」
「あー、やっぱり知ってるよね。実はそうなの」
千刃院グループは魔術機具を開発販売する企業だ。日常生活には欠かせない機械類、魔術を利用する武器に至るまで幅広い分野に携わっている。
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