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「君達はいわゆる『落第者』というレッテルを貼られてしまいました。このクラスに配属されてしまった理由、進級試験の失敗または苦手な分野等、それぞれ思い当たる節はあると思います」
真剣な表情と優しい声に全員が聞き入っている。
「ですが、どうか卑屈にはならないで欲しい。皆さんは誰にも負けない長所を持ち合わせています。少人数のこのクラスをチャンスと捉え、大いに長所を伸ばし、しっかりと短所を克服する。そして今日とは見違える姿で皆で1年後を迎えましょう」
「「は、はい」」
全員がそれぞれの出せる声で返事をした。もちろん俺の小さい声もそこには含まれている。
だけど、先生。俺、落第した理由が思い当たらないし、最初から卑屈なんだけどどうすればいいでしょうか?やっぱり人間性が駄目なんでしょうか?
まぁ、いい雰囲気なので口には出さない。全員が先生の言葉を噛み締め、決意を新たにしてるに違いない。
「先生、1つ質問してもいいですか?」
千刃院が挙手して問い掛ける。
「気になったんですけど、先生はどうしてこのクラスの担当になったんですか?正直もっとびしびしする怖い先生を想像していたんですが」
たしかに落第者の指導ともなれば千刃院の予想も一理ある。俺もゴリゴリのイカつい先生を想像してここに来るまで密かに怯えていた。
「あぁ、その事ですか」
先生は人差し指の第二関節で眼鏡を押し上げた。
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