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ほどなくして臨時特別救済クラスの教室が見えて来た。
隔離だ、職権濫用だの考えてたけど、よく考えれば急遽設立されたクラスだ。一般棟に空きが無かったのだろう。
教室に入る前にふと考える。クラスは計5名。俺の他、いや俺と似た様な奴があと4人いる事になる。
えー、もう終わりじゃんよそれ。自分で言ってて悲しくなるけどまずいって。地獄完成しちゃうって。
学級崩壊秒読みだ。けどまぁ、最初から個人が崩壊してるからな、これ以上崩壊しょうがない。なら問題無いじゃん!
謎理論で元気が出てきた。いや、無理しないと心折れちゃうから。
意を決して扉を開ける。
窓辺には等身大の精巧な人形が窓の外を見ていた。
もちろんそこに居るのは人間だ。人形が音に反応して振り向いたりはしない。
絹糸のように真っ直ぐな金髪は背中に届き、前髪は綺麗に切り揃えられている。
水色の瞳は少し眠たげに細められ、目が合った瞬間にぱっちりとした本来の大きさに戻る。
一番人形と錯覚させたのはその表情だ。
感情を盗まれたかのような涼しげな顔。興味が無いのではなく、興味の持ち方を最初から知らないような無垢な儚さを感じた。
まぁ、要するにとびっきりの美少女が目の前にいた。
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