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「暑い中、探させてしまって申し訳ありませんでした。」 「探してないよ。ホテルのビーチから、海岸にいる佐々木さんが見えたんだ。Tシャツのままだから、結婚に怖気づいたか、道に迷っているかのどちらかだと思って、迎えに来た。」 「それは、なお、恥ずかしい。」 また顔を覆いそうになって、ハッとする。 「アキさん、鈴音さんに連絡してもらえますか?心配しているはずです。」 「ああ、そうだね。」 アキさんがポケットに手を入れて、クスリと笑って肩をすくめる。その姿がハリウッドスターのようで見とれそうになる。 「スマホ、置いてきちゃった。」 俺はぐぬぬ、と喉を鳴らす。 「ごめんね、佐々木さん。さっき着替えた時に、テーブルに置いたんだった。」 「いえ、悪いのは俺です。急いで戻りましょう。」 「了解。」
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