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「鈴音さん、ごめん!」
控室に駆け込むと、鈴音さんは椅子に座っていて、その横に立つおかみさんに背中をさすられていた。
俺の姿を見るなり「佐々木さん!」と言って、ウエディングドレスの裾を持ち上げて駆け寄り、頬や体をペタペタと触る。
「無事?怪我してない?怖い目に合わなかった?」
「大丈夫。道に迷っただけだよ。」
「迷子になったの?」
「うん。アキさんが迎えに来てくれた。」
「よかった~。」
鈴音さんがふにゃっと俺に抱きつこうとする。
「あ、ダメだよ。俺、汗だくだから、ドレスが汚れる。」
「そっか。ごめんなさい。」
「でも、キスだけさせて。すごく綺麗だ。」
チュッと唇を重ねると、鈴音さんが嬉しそうに微笑む。
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