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「鈴音さん、俺、今すごく真剣。」
「うん。分かってる。ごめんね。」
謝りながらも笑い続ける。
「鈴音さん。」
「ごめんね。迷子の迷子の子猫ちゃんだな、と思っちゃって。」
鈴音さんにつられて、衣装さんとヘアメイクさんも笑いだす。
「そんなに面白いかな?」
首を捻ってから、靴下に集中する。何とか両足にはめて、革靴を履く。
「完璧です。猫ちゃんは見えません。」
「モデルさんみたいですね。お2人の写真、ホームページに使わせてほしいくらい。少しだけ、髪にワックス付けさせてくださいね。」
手を伸ばすヘアメイクさんに合わせて屈むと、手早く髪を整えてくれる。
「はい。できました。どうぞ新婦様のもとへ。」
促されて、鈴音さんに歩み寄る。まだクスクスを残しながら、俺を見上げて微笑む。
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