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ドアが開き、厳かな音楽と共に、アキさんにエスコートされた鈴音さんが入ってくる。 天井まで届く大きな窓から、日の光が差し込んでいる。 不思議な店でもらった布でしつらえたベールが、鈴音さんを覆う。 店主が『特別な糸で織られている』と言っていたその布は、真っ白なはずなのに、光を浴びて、キラキラ輝いているように見えた。とてもしなやかで、それでいて張りがあり、ふわりと浮きそうなくらい軽やかに揺れている。 天使の羽は、あんな感じで羽ばたくのかもしれないな。 そう考えながら、俺の花嫁に見とれる。静かに進む2人が美しすぎて、映画を見ているような気分になり、きちんと自分のもとに来てくれるのか、少しだけ不安になってウズウズする。
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