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圭と絢
〈翌朝〉
「おはよう、圭」
朝の七時。絢が部屋の窓を開け、少し大きめの声で挨拶する。
「ああ、おはよう絢」
俺も窓を開けて挨拶する。
平日も休日も、朝の七時にお互い向かい合っている窓を開けて、「おはよう」と挨拶をするのが俺たちの日課だ。
あ、申し遅れました。俺はネットの世界で〈K〉として活動している、九条圭だ。つまり、ゲーム実況者の〈K〉は俺のこと。
今挨拶をしたのは、俺の幼馴染でお隣さんの藤咲絢だ。ちなみに、俺の好きな人。
顔が可愛くて、俺よりも背が低い。成績は中の下くらいだけど、そのお陰で俺は彼女と二人きりで勉強会が出来る。まあ、九割俺が絢に教えてるだけだけど。
正直、俺に教えられながら一生懸命問題を解く姿が可愛くてしかたがない。
おっと、付き合ってもない女の子のことで惚気てしまった。
でも実際、俺は絢の彼氏になりたい。小学生の頃から何度も告白しようと思ってたんだけど、行動に移せず何年もの月日が......。
普段話すときは全く緊張しないのに、いざ告白となるとまともに話せる気がしないんだよなぁ。
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