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でもそれ以前に、俺と絢の間には、ある問題が存在する。
それは、絢が〈K〉のリアコということだ。
リアコというのは、アイドルとか俳優とかに恋愛感情を持っていることで、ガチ恋と同じような意味だ。
〈僕〉である〈K〉と〈俺〉である〈圭〉。なんの問題もないように思えるんだけど、絢の興味が〈僕〉に向いている限りは、〈俺〉に勝ち目はない。
どうにかして絢の興味を〈俺〉に向けたいんだけど......。
「ちょっと、圭? どうしたの、ぼーっとして」
そうだ今は登校中。
隣を歩いている絢が、心配そうに俺の顔を覗き込む。
「かっわい」
「え? 何か言った?」
「い、いや何でもないよ」
あっぶな! 可愛いと思ったのがそのまま口に出ちまった。絢が気づいていなくて助かった。
「圭、最近変だよ? ずっと考え事してるように見える。何か悩みとかあるの? 聞くよ?」
流石にお前が好きすぎて悩んでるなんて言えるわけねぇーーーー!
こういうふとした時の無意識な優しさとかも、絢の魅力だと思うんだよな。マジで可愛すぎて一周回ってキレそう。
だけど俺は今のこの空気に耐えられないので、話題を変えます。
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