約束のカラーボール

6/10

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
期末テストをなんとか乗り越え、春休みを迎えた。天気予報によると今週は寒波が思いっきり日本列島にあたるらしいから、動けなくなる前にと思い、俺は予定よりも早く帰省した。。 案の定、帰省二日目の朝を迎えると、一年に数回しか雪の積もらない俺の地元にも銀世界が広がっていた。都合の悪い汚いものは全部白で覆いつくしているようだ。 実家にはいるものの、遊びに帰ってきたわけではないから、友達にはまだ会ってはいけないような気がした。 敦たちとの約束まであと数日。  やっぱり俺はじっとしていることができなかった。地元に帰ると、大学にいるとき以上に鮮明に野球部時代のころを思い出してしまう。 俺はジョギングに出かけることにした。雪で滑らないように野球部のときに使用していた練習用のスパイクで表に出る。 なぜか家を出ると早い時間にも関わらず毎朝だれかの足跡があった。その足跡を無視して逆方向に走る。ざく、ざく、と誰もまだ歩いていない新雪の上を走るのは心地よかったからだ。 しばらく走っているとポケットにいれていたスマホが震えた。トモキからだ。 「こっちいつ戻ってくる? レンタカーおさえとこうと思ってるんだけど、タクヤ免許持ってたよな?」 「免許は持ってるけど、いつ帰れるかまだわかんないや。また連絡する」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加