深みにはまって

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深みにはまって

旦那は、ドンドン頭がおかしくなっていった。 窓の外は貸駐車場なんやけど、そのテールランプを毎回警察の回転灯やと言ってはびびってた。 ゴミを捨てに行こうとしたら、必死に玄関を開けるのを止められた。 外には警察がいるから…と。 私はその都度振り切って外に出て、駐車場を一周してから、窓の方へ向かって手を振って見せた。旦那を少しでも安心させるように。 家の中は、コンセントの穴や換気扇など、全てが紙で塞がれていた。 電話機や、テレビは盗聴や盗撮の恐れがあると言って潰されていた。 明らかに狂ってた。 けれど、旦那の親父は刑事で、お金持ちの家。 旦那が働かなくても、旦那にだけはお金を与える。 私は、反対されて結婚した嫁やから、旦那の親からは何のフォローも、もちろん祝福もされず、旦那に殴られても、殴らせるお前が悪いと言われて終わった。 薬をやめさせたくても、バカ親が金を渡す限りやめない。私が止めたら、殴ってでも手振り切って買いに行ってしまう。 私が家を飛び出したら、死に物狂いで連れ戻されて、殴られて、最後は貪るように丸一日中でもSEX。 手錠をかけられて、ビニル紐でくくりつけられる。 ドンドン、深みにはまっていった。
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