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―コン、コン。
そこへ控えめなノック音が玄関から聞こえた。
「ごめんください。新橋です。すみません、遅れてしまいました」
新橋の穏やかな声に、一気に食卓の空気は和らいだ。
「全く。遅いじゃないか」
父はそう言いながらも表情は柔らかだ。母とひわもお互いに顔を見合わせて、ほっとしたような笑顔になる。
「はーい」
家族を代表してかすりは玄関を開けた。
「もう。遅いよ新橋…さ…ん?」
「お姉ちゃん?」
後ろからひわが不思議そうに声を掛けてくる。
それでも、目の前の光景に上手く頭が回らない。
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