第1話『朧月の夜、少女の運命は狂い始める』

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※  祝いの食事が振る舞われるはずだった食卓に、かすり達家族と向かい合うように新橋が座った。かすりは新橋の隣に座っているが、居心地が悪くてたまらない。 食事は既に冷めきっている。あんなに楽しみにしていた料理を見ても食欲すらわかなかった。 父は眉間に皺を寄せ、母は両手を胸の前で握っている。ひわは俯いたまま顔を上げない。 そんな空気の中話出したのは元凶である新橋だった。 「この度は突然の婚約破棄となり、誠に申し訳ありませんでした」  椅子に座ったままできる限り頭を下げる。 「……説明してくれ」  父は今まで聞いたことのない低く、地を這うような声で尋ねた。 「…もちろんです」  そんな父の態度に怯まず、新橋は顔を上げると、かすり、そしてかすりの家族順々に視線を向けた。
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