第1話『朧月の夜、少女の運命は狂い始める』

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※  かすりが暮らすこの国は、名をいろは国という。人口400万人、島の面積は83000k㎡。 広大な敷地には村がいくつもあり、北にはこの国の王の城がある。かすりは城とは正反対の村に生まれた為、城も王族も見たことがない。学校で習った歴史によれば、この国が出来た頃からずっと今の王族がこの国を治めている…らしい。  かすりの村は海と山が両方ある立地である。海の幸も山の幸にも恵まれた素晴らしい場所だ。  この島には昔から身分というものがあった。王族、貴族、平民、奴隷。 かすりは平民。基本的には親の身分が引き継がれる。男女の身分であれば、男性が優遇された。 この身分が覆ることはこの島では珍しいことではない。 それは女性の結婚だ。王族でも、貴族でも、平民でも16歳の年に結婚できなければ、その女性を含めた家族全員が奴隷となる。奴隷の扱いは村によって異なるが、いいものでは決してない。
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