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「かすり、笑っている場合ではないだろう!」
「ご、ごめんなさい…」
怒鳴り声に驚いた小鳥が夜空へと飛び立ってしまう。
「お前はいつも1人でブツブツと…」
「あなた落ち着いて」
「こっちは気が気じゃないっていうのに…」
新橋の遅れが相当頭にきているのだろう。父はその苛立ちをそのままかすりにぶつけてくる。
「だいたいお前はいつも1人で喋ったりして、村の人達に変な奴だと言われているのを知らないのか。こんな時にまで1人で喋るなんてどうかしているだろう」
「…はい…」
「あなた、でも、かすりは村で一番の器量良しと言われているし、学校でも成績はトップだった。そのくらいのことはマイナス要素にはならないわ」
「だがなぁ…」
「お姉ちゃんはいつもお父さんとお母さんの言うこと、きちんと守ってるよ。だから、お姉ちゃんを怒らないで」
母とひわが助け舟を出してくれたおかげで、父の叱責は収まった。腕を組んでむっすりと黙りこんでしまう。
空気は最悪だ。母とひわに目線だけでありがとうと告げると、いよいよ食卓には重い空気しか流れない。
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