忠  義

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忠  義

 ヨシは畑犬、  何代も続く畑の警備犬でした。  畑の真ん中の作業小屋の脇、  頑丈な犬小屋で  照る日 曇る日 大雨の日も  懸命に畑を守っておりました。  外部の人間への警戒心も  さることながら、  新しい土などを畑に入れても  クンクン臭いで点検、  カリカリと元の地面に  シッカリ馴染むかを  まるで農民の如く  足先で確認しているような…。  紀州犬のヨシは体格が立派で  声も野太く良く透り  一鳴きすれば  一里向こうの村にも轟く…  そんな噂もある程で、  たわわに実る作物を守る姿は  まことに凛たるものでした。  
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