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その日から
随分時が経ちました。
ユウもセイも母犬の浄土へ。
私は名古屋の大学で
法学者として教鞭を執り、
五十を来年に迎えていた彼岸前。
『コウが今朝亡くなりました』
母よりのメールを
新幹線の中で受けました。
ヨシの血をひくコウは
十六年と三ヶ月、我が家に
尽くしてくれた畑犬です。
仕事が忙しく、五年近くも
帰省していなかった私には
コウの面影は若いまま。
車窓を流れる景色のように
幼少期やヨシ達のことを
追想して…
鞄を握り締めました。
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