忠 義

鞄にはパソコンと書類、

今日は法務省での法改正会議です。

細部に及ぶ法律は

時節や経済に応じて、微妙に

改則・添付・削減が必要です。

とはいえ、迂闊に簡単にはいかず

専門家会議を開くわけです。

私が長らく付いておりました

教授が退官となり、後継となり

ついでに、政府の仕事も

　「君は卆なくこなすから」

と、言わて受け継いだのが五年前。

ソツなく…巧く言われたもんです。

気性の弱な私は、大学にも

恩師にも背いたことはありません。

教科書に載った法を

学生達に伝承し、伝承…

そうでありましょうか…

ただ、読み上げていただけでは

ないかと…ああ、これは間違いだと

思いながらも、小競り合いを避け

無難にしていただけのような…。

それに、法改正の会議書類…

国の方針に、尤もらしい理屈を添えて、

さも、改正が正義のように

仕立てた文面が

そこに入れてありました。