忠  義

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未熟児であったことが 嘘のようにスクスク育ったユウ。 もちろん兄弟二匹も健康で、 一匹は親類の家へと 畑犬として貰われてゆきました。 残った一匹は“セイ”と命名、 母犬のヨシと公務につくように。 水ナスやトマト、田んぼの真ん中、 しっかと地面を踏んだ姿は ヨシ以上に凛々しいものでした。 対してユウは 冷暖房完備の室内を  「だいじょうぶかあ?   大事ないかあ?」 の声に支えられ、 寝ると食べると、家族に笑みを 運ぶことだけが、仕事でした。 ただ、血は争えぬというか… 毛布やカーペットなどが 新しいモノに変わると 母犬のように足先で カリカリと安全確認の仕草、 教えてもないのに・・・。
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