忠  義

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大学院へ進学した年でした。 家族の心配を押して独り暮らし。 跡取り娘は姉ですから いずれは出る家…。  「お前にも婿を」  「姉妹で隣同士で暮らそうよ」 そうは言ってくれても 結婚するなり、自活するなり 考えねばと思っていた頃でした。  ともかく週末だけ帰宅。 少し家を離れると 祖父母はむろん、両親も  (年季が入ったなあ…) …気づくものです。 それからヨシも…。 峠を越えて、美しい遠吠えが 不意と耳に入ってくるとき… それはヨシでなく セイであるのに気付いたのもこの頃。 車を降りて、犬小屋へ近づくと 祖母の横に並んだヨシ、 なんだか二人?同級生みたいに 見えて…ひどく淋しく なったものです。 有り難く平凡に、山間(まやあい)に 月日は流れて・・・・     ・・・おりました。
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