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その声は正真正銘、男虎の声だったからだ。
彼は雨粒と涙を交え、私にこう言った。
「お前と約束した次の日、お袋が亡くなったんだ。
俺は家出してきたクソ野郎だけど、俺にとっては唯一無二のお母さんだったんだよ」
私は何も言わず、彼の頭を撫でてあげた。
そして、抱きしめ、自分の温もりを分けてあげた。
彼の身体はどっしりしているのに心は毛糸のように脆く感じた。
いつまで温め続けても心に火を灯すには至らなかった。
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