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村への報告(一)
翌朝早く、晴道たちは村にいた。
外で向かい合った村人たちが、顔を強張らせている。原因は、共に戻った玉瀬が幼子をおぶっていたからだ。
葛はまだ、大人しく眠り込んでいるようだった。
「なぜ、その子を連れてきたんです?」
長老の声には、恐怖と憤りが混ざっていた。
晴道は、それに気づかぬふりで言ってのける。
「口だけで退治の報告をしても、本当か否か、あなた方に確かめる術はないでしょう? 後々、不安になるかもしれないと思いましてね。ならば、その目で見届けていただこうかと」
「……ここで退治する、ということだろうか?」
それはそれで、朝からなんとも恐ろしい、と。
思わず渋い表情を浮かべた彼らに、晴道は首を振った。
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