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ある違和感(二)
「えーと……小さな子どもには見えました」
「肌や髪の色は?」
「そういえば、明るかった気もしますが」
「じゃあ、一番目立つという瞳はどうだ?」
「……すみません。聞いていたほど、輝いていたかは分かりません」
ひと通り確かめてきたところで、晴道が軽く笑った。
「そう。つまり、あまり見えなかったわけだな。俺も同じだ」
草木が茂っているとはいえ、天気の良い今日はそれなりに光も届いている。少なくとも、夜よりは明るいはずだ。
「あ、そうか。月が出ていたとしても、あれほど細かく見極めることは難しいですよね?」
ましてや、彼らは相手を恐れている。ならば、近寄って注視したわけでもあるまい。
「そういうことだ。だからな、見知らぬ者ってのは違うかもしれんぞ。もう一度、村人に話を聞いたほうが良さそうだ」
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