10人が本棚に入れています
本棚に追加
捜索の後(一)
場所は再び長老の家。
晴道と玉瀬は、改めて村人たちと向き合っていた。
「鬼子は山にいたと? それで、もう退治していただけたんですか?」
これに晴道たちが首を振ったので、一気に動揺が広がる。
「ああ、ご安心を。退治はまだですが、山には結界を張っています。ここに下りてくることは叶わないでしょう」
「……そう、ですか。それなら、まあ。しかし、どうしてすぐに決着をつけんのです? それほど厄介なんでしょうか?」
「いえ。力で言えば、私たちのほうが断然上ですね」
晴道は、自信たっぷりに述べた。その言葉に、村人たちはかえって困惑の表情だ。
長老が首を捻りながら、再び尋ねてきた。
「では、なぜ?」
玉瀬は黙ったまま、師に目をやった。晴道が、うっすらと笑みすら浮かべて応じる。
「あなた方に、伺いたいことができまして」
「……お話なら、すでにしたはずですが。それとも、我々が何か偽ってるとお思いで?」
「そうは言いませんがね。ただ、あえて話さなかったことはあるんじゃないかと」
最初のコメントを投稿しよう!