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捜索の後(二)
長老は眉間の皺を深くした。
「どういう意味でしょう」
「あなた方は、鬼子のことを前々から知っていたのではないですか?」
途端に、皆が落ち着かなくなった。それで師弟は確信する。
玉瀬は厳しい顔で告げた。
「隠し事は困ります。正しい対処ができません」
晴道が玉瀬の肩をぽんと叩いて、言葉を継ぐ。
「今度こそ、きっちり教えてもらえますね」
さらりとした声音には、同時に迫力がこもっており、村人は一様にたじろいだ。
「……とんだ失礼をしました。おっしゃるとおり、伏せていた事柄があります」
頭を下げた長老は、暗い面持ちで語り始めた。
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