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鬼子との対峙(二)
さらに夜が更けると、交替で仮眠を取ることにした。
「師匠、先に休んでください」
「ん、そうか? 悪いな。じゃあ、適当な頃合いで起こしてくれ」
「そうします」
寝転んだ晴道の隣で、玉瀬は月が照る空を見上げた。さらりと過ぎる風も心地よく、つい、微睡んでしましそうだ。
眠気覚ましに、立ち上がって伸びなどしていた時である。相手は、いきなり動いた。
陰から飛び出した一拍後には、後ろから玉瀬に襲いかかってきたではないか。しかし、玉瀬は身を傾けて、それを躱した。
「やあ、元気そうで何よりだ」
明るく言ってみるが、向き合った相手は唸りながら睨んでくる。そして、また勢いよく腕を振り上げた。
当たれば、きっと痛いだろう――そんなことを考えながら、玉瀬はひらひらと避け続けた。決して、自分から手を出すことはしない。
ひらすらに幼子の動きを止める機を窺っているのだ。
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