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夜の騒動(二)
他の数人が止める間もなく、向かっていった男は、一拍後には地に伏していた。小さな影は、たった一撃で相手を伸してしまったのだ。
皆が目を剥き、身を竦めた。
影は、なおも、獣のように呻いて男たちの挙動を窺っている。だが、もう誰も楯突く者がいないと察するや、山と抱えた野菜と共に立ち去っていった。
ようやく恐怖が解けた男たちは、倒れた一人に駆け寄った。
「大丈夫か?」
「こりゃ、ひでえな。腕が折れちまってるかもしれん」
「早く戻って手当てせんと」
命は拾ったものの痛みに汗ばむ男を、他の者が背負う。そうして、彼らは揃って肩を落とし、足取り重く家に戻っていったのだった。
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