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旅の師弟(二)
戦国の世、元より、小さな農村の暮らしは厳しかった。
少し前までの長雨で、作物の育ちも芳しくない。そこにきて、ようやくの実りさえも奪われているというのだ。心安くはいられまい。それが、村人では太刀打ちできない者の仕業であるから尚更だった。
「もちろん、これとは別にお礼もお渡しします。さあ、温かいうちにお召し上がりください」
長老の言葉に、集まっていた村人たちも頷いた。
「そこまでおっしゃるなら。せっかくのご厚意、ありがたく頂戴します。なあ、玉瀬。腹が減ってはなんとやらだ」
「ええ、そうですね。それじゃあ、いただきます」
煮物、焼き物、汁物――それらに使われてる野菜は、ほとんどが村で育てたものだという。それぞれに甘みがあり、味も濃い。不作の中で、なるべく出来の良いものをと選りすぐってくれたのだろう。
それが分かるので、二人は一層味わって食した。
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