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夜の騒動(一)
「……おい、お前! また俺らの畑から、野菜をくすねたな!」
「こうも毎度荒らされちゃあ、見逃せんぞ。返せ! そんで、さっさと失せてくれ!」
穏やかでない声が、月明かりのもとに響く。
先頃、物音に気づいて外に出た男たちが、小さな影と対峙しているのだ。言葉の調子は強いが、その声には、どこか怯えが混ざっている。
怒鳴られても一向に動かない影。焦れた一人が掴みかかろうとした。
「おい、止せっ」
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