1.セピア

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1.セピア

クラスの同窓会の知らせが届いたのは、クリスマス前で街が浮き立った12月の下旬。 俺は街の賑わいをよそに、ひたすら大学とバイト先の往復をしていたときだった。 久しぶりに同級生からのメッセージが届いたと思ったら、成人式と、当時のクラス担任の還暦祝いを兼ねた同窓会をする連絡だった。 【周マジで久しぶりだよな! 絶対参加しろよ〜 あと、花梨にも来いって伝えて(-人-) あいつ帰ってきても実家しか寄らずにトンボ帰りで、全然みんなと会ってないんだよ… てことでよろしく!】 学生時代と変わらず暑苦しい、幹事の真太(まさた)からの連絡に、少し苦笑いして懐かしさをおぼえた。 花梨か…。 なんか連絡しづらい。 原因を作ったのはきっと俺なんだろうけど。 とりあえず、お前行くの? と心の中で問いかけてみる。 思えば、もう6年も、花梨にはあっていないのだった。
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