1.まだ子供だった頃の私は、彼の1番だと思っていた

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1.まだ子供だった頃の私は、彼の1番だと思っていた

私は、今日も小学校の廊下を走っていた。 彼の元に駆けつけるために。 この時間はもう、ほとんどの生徒は帰ってしまっており、夕日がもの悲しげに廊下を赤く染めていた。 「純!?いる!?」 私が教室の扉を開けると、上半身は裸、下半身は体操着の短パンを履いている純が、窓際にある自分の席で、しくしく泣いていた。 私は真っ先に、いつも通り教室の後ろにあるゴミ箱をチェックする。 予想通り、びりびりに破られ、『私は男なのに男が好きな変態で〜す』と油性マーカーで落書きされた純の洋服が突っ込まれていた。 「……また、あいつら……?」 純は、私の質問には答えなかった代わりに、こう言った。 「……僕、死んだ方が良いのかな?」 「……何で?」 「皆、僕の事キモいって、ゴキブリだって、死んじゃえだって……」 純の声は、涙で震えていた。 私は、ゴミ箱から純の洋服を純の代わりに拾いながら 「ほんと、陰湿。こういうの、まじうざい。」 と、吐き捨ててみせた。 「……ごめん……四葉ちゃんにそんなことさせて……」 「純は悪くない。あいつらに今度ゴキブリ投げつけてやる」 「四葉ちゃんなら本当にできそう」 「ゴキブリホイホイ、お母さんが仕掛けてたからすぐ取れると思う」 私がそう言うと、純は少しだけ、微笑んでくれた その微笑みが、とても痛々しい。
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