1.まだ子供だった頃の私は、彼の1番だと思っていた

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姉島純一は、私が保育園にいる時から仲良くしている、幼馴染の男の子。 仲良くなった最初のきっかけは、私たちが1歳になったばかりの話なので、とうの昔に忘れてしまった。 ありんこを殺すこともできない程、心優しい純に、男の子に覚えたてのガチプロレス勝負を仕掛ける程の、先生も手を焼くような悪ガキの私。 私たちの気質はこんなにも違うのに、いつの間にか一緒にいることが当たり前になっていた。 いつもひょこひょこと私の後に付いてきてくれる純を、同い年ながら 「かわいいな〜」 と弟のようだなと思っていた。 大きくなるにつれて、私は恋という感情を身につけた。 1番近くにいる純を、異性として認識することは、とても自然な流れだった。 小学校に入ってすぐのバレンタインの日、私はお母さんと一緒に初めてチョコを手作りした。 当日純にプレゼントをした時は 「おいしいよ」 と無邪気な笑顔で、私が作った歪なチョコを食べてくれたので、その後は嬉しさのあまり、純と私の結婚式のイメージを妄想した。 まだ子供だった頃の私は、彼の1番だと思っていた。 だけど、それが叶わないと知ったのは、それから4年後。 小学校5年生になってすぐのこと。 私と純は、同じクラスだった。
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