1.まだ子供だった頃の私は、彼の1番だと思っていた

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その日の朝、登校すると教室がざわついていた。 「おはよーどうしたのー?何かあったー?」 私は引き戸を開けながら、聞いた。 でも、その答えを聞かなくても、教室の状況が出来事を物語っていた。 「何……これ……」 教室の黒板には、数枚の写真が貼られていた。 それは、全部純と、私が知らない男の子が、仲良さそうに話している様子、抱き合ってる様子、手を繋いでいる様子、そしてキスしている様子が写し出されていた。 そして、黒板の前でうずくまっている純と 「変態!変態!!」 「男のくせに男が好きなんてやべーよ!」 と、純を囲んでいるクラスメイトが、それぞれ思い思いに純を攻撃している姿が、私の網膜に焼きついた。 「あんた達、純に何すんのよ!!!」 私は主犯格であろう男子の胸ぐらを掴んだ。 そのタイミングが悪すぎた。 誰かが写真をさっと隠して、私は男子を殴った。 男子の頬に私の拳が入ったその瞬間に、担任が入ってきて 「何やってるんだ!!!」 と急いで私の手首を掴んんだ。 それから、私の行動だけ学校で問題になり、ちょっとした騒ぎになった。 一方で、純へのクラスメイトの行動は公にされず、その日から陰で純が嫌がらせを受ける日々が始まってしまった。
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