2.行ってしまう彼への思いを断ち切るように、私はそれを噛み切った

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深紅のアフタヌーンドレスに身を包み、ブルーの蝶ネクタイを握りしめた私は、ある場所へと向かった。 「ここか……」 新郎控室、と日本語で書いてある扉を開けると 「え〜ん、四葉ちゃ〜ん!どうしよう、緊張しちゃうよ〜」 純が、私に泣きついてきた。 子供の頃から、ずっと変わらない。 だけど、今日の純はいつもと違う。 白いタキシードを、身につけていた。 「こら、そんなに泣くと、せっかくの結婚衣装が台無しになるでしょう?」 私は、純の首元を触りながら優しく言ってやった。 そこに、まだタイはなかった。
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