2.行ってしまう彼への思いを断ち切るように、私はそれを噛み切った

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「ねえ四葉ちゃーん!どうしたらいい!?」 「今更、何言ってんのよ」 私は、純の手を取り、すぐ近くにあったソファに座らせてから自分も横に座った。 それから、持っていた蝶ネクタイを、首にかけてやった。 「今日は、特別な日でしょう?主役がそんな不安そうにしててどうするの?」 「それはそうだけど……やっぱり不安だよ」 「どうして?」 「だってさ、僕がこんな風に結婚式あげてもいいなんて……」 「だから、ハワイで式上げるんでしょ?同性婚でも結婚証明書出してくれるし」 「でも……」 「いいじゃない。純は念願叶って……」 私は、ゆっくりと、蝶ネクタイを結んでやる。 これで、花婿衣装の完成だ。 そっと、蝶ネクタイのリボンを撫でながら、私は言葉をつなげた。 「結婚できるんだから。好きな人と」 「正式なものは……無理だけどね」 「でも、二人が住んでる渋谷は同性パートナーシップ証明書出してくれるんだし……大丈夫」 「……そうだね」 純はまだ、不安げな様子だったので、私は子供の時と同じように頭を撫でてやった。
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