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──凄いのはあくまで付き合ってる男であって、彩佳自身がそこまで凄い訳じゃないんだけどなぁ。
彩佳が誰かと付き合った、という話を耳にする度に私は首をかしげたのだが、当の彩佳はどこ吹く風。
「アタシさぁ、今度ケンちゃんが主催するパーティーに彼女として招待されたの!
よかったら、多香子達も行かない?
アタシの友達ってので、皆にもよくしてもらうよう言っておくしさ!」
ある日、すっかりと男ウケする容姿となった彩佳は、口元を曲げながら私を含んだグループの子達に声をかけてきた。
私は「コンビニのバイト」を名目に、丁重に断りを入れた。
大体、そんな男達が集まるパーティーに参加しても、ロクな目に合わないだろうし、何より彩佳の尊大な態度が鼻について仕方なかったからだ。
「つーかさ、俺様な男と付き合ってると気苦労が絶えないんだよねぇ。
ああしろこうしろ、ってのがうるさいし、アタシが少しでも他の男の子と仲良く話してるだけで、『お前、浮気してんのかぁ!』って殴ってくるんだもん」
左目にした眼帯を押さえながら、彩佳は苦笑を浮かばせる。
その彩佳の愚痴に、私はいつも通り「へー、大変だね」といった生返事を頬杖をつきながら返した。
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