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高校を卒業してからも、彩佳の恋愛遍歴はLINEや友達とのランチなどを通じて私の耳に入ってきた。
あくまで聞いた限りだけど、彩佳はイベサーを仕切っているリーダーや大学のサークルの代表と付き合っていたとか。
そして、その話を聞く度に私は、例の生返事をカフェでシュガーブラックを飲みながら返していた。
やがて、私が「アラサー」と呼ばれる年齢に差し掛かった時だ。
彩佳から、「高校時代の友人」という繋がりで、私に結婚式の招待状が来た。
彩佳とは数年間、顔を合わせてはいなかったけど、LINEではちょこちょこやり取りをしていたし、高校時代の友達と久しぶりに再会出来る、というのもあって、私は結婚式の招待状に丸をつけた。
結婚式で久しぶりに見た彩佳のその姿は、私にはどこか疲れているように見えた。
成功のオーラに満ちている旦那さんとは対照的に、彩佳のその体躯はやせ細り、笑顔も苦笑に見え、どこか無理をしているように見えたからだ。
「彼がさー、痩せてる子が好き、っていうから、結婚式までにメチャクチャ頑張ってダイエットしたの!
彼、スマホ向けのアプリ作ってる会社を運営しててさー!
性格とか、こうと決めたら絶対曲げないし、アタシも彼のそういう真っ直ぐなトコロに惹かれて結婚を決めたの!
多香子も瑞穂ちゃんも、今日は来てくれてありがとー!」
内臓に残った元気を雑巾みたく絞るように、精一杯の愛嬌で参列した私達に笑顔を振りまく彩佳。
その彩佳に、私と瑞穂の二人は「おめでとうー」と形式ばった言葉を返すと、空いた彩佳のグラスにシャンパンを注いだ。
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