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「アタシ、俺様な男って結構憧れるんだよねぇ」
学生時代、友達の彩佳は照れ隠しでケラケラと笑いながら、よく私に言っていた。
そして、彩佳のその主張を聞く度に私は、「へー」とか「そうなんだ」といった生返事を頬杖をついて返していた。
とはいえ、彩佳の気持ちは同じ女としてよーく分かる。
実際、システマティックに店舗を運営している「マクドナルドの支店長」と、数人の従業員をアゴで動かしている「個人経営のハンバーガーショップの店長」の二人が、目の前にいたとしよう。
そしたら、私はたとえ年収が同じでも多分個人経営の店長に心惹かれるハズだ。
女子の本能なのか、人間がサルだった時に遺伝子に刻まれたモノなのかは分からないけど、どうも人間ってのは組織の大小問わず、その組織を動かすリーダーに心惹かれるモノであるらしい。
まっ、「私はそんな事はない!」って言う人もいるだろうから、コレに関してはあまり強く主張する気は無いんだけど。
で、話を戻すけど、その後の彩佳は自らの主張を証明するかのように、何かしらのトップに立っている人間との交際を繰り返した。
(委員長とはまた別の)クラスのリーダー的存在の男の子、主将より権力を持ってたバスケ部のエース、街で名前を知らない子はいないと言われていた不良のトップ。
そして、そういった男と付き合っていく度に、彩佳の態度はどんどんと尊大なモノとなっていった。
まるで、付き合っている男の地位と自分が同列にでもなったと、錯覚するかのように。
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