3話 微睡みの中で

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 ──神様は、様々な世界を作りました。  昔は、互いに行き来出来たといいます。でもいつからか、世界を渡れるのは、限られたヒトだけになりました。  この世界に取り残された人間達は、このままでは行き詰まることに気付きました。  だから人間は皆、眠りにつきました。  人間を見守り手助けし、安心して目覚める日を迎えるために造られた存在。──それが  カリキュラムを聞き流しながら、彼は昼間の提案を思い出す。  蒸気機関と歯車と、明らかに釣り合ってないテクノロジー。誰も疑問に思わない()()()が組み合わさって、彼らは生まれた。  雛形は、厳重に保護されている。夜間の外出はとても無理だ。もし万が一、(コア)に傷がついたら、どんな機体(からだ)に搭載しても、自壊してしまう。だから管理プログラム(おとな)達は、慎重に彼らを育成する。まずは演算と一般常識。判断力。  一定の水準を満たしたモノが、与えられた機体に搭載される。  それにコールドスリープ区画は、立ち入り禁止だ。  彼は、どうやってそれを掻い潜るつもりなのだろう。  それだけは、少し気になった。
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