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「……う」
ジーノが目を覚ますと、そこは見知らぬ場所だった。
木が沢山ある。ぼんやりとそう思った。何故自分はそう考えた? わからなかった。
正確に言うと、木製の家具に囲まれた一室だ。
ふわふわの布団に、キルトの布で飾られた暖かい部屋。
自分とは、随分縁遠いように感じるそれらを眺めていると、家主であろう少女がぴょこんと顔を出した。
「おはよう! コーンスープとココアとどっちがいい?」
「え?」
温かい匂いがする。鼻腔をくすぐる香りは腹部をきゅうっとさせた。
でもそれはなんだ?
戸惑っているジーノをみて、不安げに顔を曇らせた少女は、はっと思いついたように笑った。
「私はアイン・フィリーラ・ファルンテイルていうのよ。貴方のお名前は?」
軋む
「……っ!」
何故だろう。ぽろぽろと、目から水が流れた。
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